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MI-E1開発ストーリー

 
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ザウルスMI-E1開発ストーリー ソフトウェアデザイン編
 
ザウルスMI-E1の秘密に迫る突撃インタビュー。
今回は、ソフトウェアの開発について、物欲ライターわたなべけんいちが取材する。






●新しいザウルスの顔:ムービープレーヤー

MI-E1のCMや広告を思い出してみて欲しい。MI-E1の画面に表示されている画面、それがムービープレーヤーだ。今までのザウルスのユーザーインターフェースとはひと味違っているぞ。そのあたりを総合デザイン本部ソフトデザインセンター 係長の松本邦康氏に聞いてみた。

松本: 私が所属しているのが、全社の商品のユーザーインターフェースデザインを手がけるソフトデザインセンターという部署です。ザウルスのような商品は、ユーザーが触れる部分、すなわち画面 上のインターフェース自体が商品なので、専門のデザイン部門の役割がより重要になっています。


ソフトウェアというのは、ユーザーが押すボタンや入力エリア、アイコンなどの見た目のデザインと、その後ろで動くプログラムの二層になっている。つまり、2つの要素がうまく動くことで使いやすい道具となる。

松本: MI-E1にとってムービープレーヤーが主力(顔)となるアプリだという位置づけでデザインをしました。今までと違うのは縦型になったこととキーボード類が付いたこと。これまでのザウルスは、画面をタッチしやすいインターフェースになっていて、アイコンやボタンがならぶデザインが中心でした。しかし、MI-E1では、主要な操作が本体ボタンになることで、画面は現在の進行状況などを知らせるインジケーターとしての役割へと変化しています。そこで、ムービープレーヤーはボタン中心に操作するというインターフェースになったことにこだわり、さらにビジュアルで役割や機能を見せ、光ることで現在の動作が一目で分かるというような設計になっています。


確かに、キーボードの有無で画面の使い方が違う。しかし、それ以上に目を引くのが一新されたボタンの形、色といったデザインだ。

松本: 様々なデザイン要素がありました。たとえば小さくても印象的なデザイン。雰囲気を壊さずに多くの人に受け入れられるデザイン。表示されるとMI-E1全体がプレーヤーに見えるようなデザイン。そして、ボディーデザインとのマッチングというようなことです。そのなかで特にこだわったことがあります。本体がシンメトリックなのに対して、アクティブな動きのある軽快なイメージ。つまり、左右対称(シンメトリック)なボディーのイメージを損ねずに、しかもザウルスの顔として恥ずかしくない存在感になっていると思います。


ユーザーインターフェースが難しいとされるのは、見た目が良いだけでなく、直感的に機能が分かること、さらに使う人の好みで好き嫌いが出ないことが重要だとされる。そういう意味では、ムービープレーヤーはお洒落でいて、うるさくない。しかも、新しさを感じさせてくれる。




●縦型アプリに対応するユーザーインターフェース設計とは

さらにMI-E1は縦型になったことで、多くのアプリがたて表示に対応している。単に縦にしただけでは使いにくいのは当たり前で、縦型用のチューンがインターフェースデザインにも行われてる。旧型のザウルスをお持ちの方は、ぜひ、違いを見比べつつ、お読みいただきたい。


松本: まず、縦型にしても使えるインターフェースというのを模索しました。特に構図的に収まりがいいということを考慮しています。また、ザウルス全シリーズとの互換性ということもあって、いろいろな(モノクロ・カラー含めた)液晶でもきれいに見えるデザインが行われています。つまり、アイコン1つにしても、カラーだけでなく、モノクロでも視認性がいいということを念頭に置いているわけです。実際には、個々のマシンが得意とする色数を見つけ出し16色くらいに絞り込んで、その中で挑戦しています。ただ、特長となるソフトに関しては、搭載されるザウルスに対する最適化というようなこともしています。もっとも液晶が美しく見える色使いです。たとえば前機種のMI-C1の液晶はコントラストが高く、黒がしまってみえます。それを意識して画面のデザインをするわけです。MI-E1に関して言えば、オリジナルアプリのアイコンに陰を付けました。陰の有無でこれまでよりクオリティーが上がっていることを見せています。アイコンはタップで動くようにもなっています。さらに、縦型になったことで、画面構成も変わっています。タイトル周りに化粧を施しています。ZAURUSのロゴも入れています。画面が明るいので、これらの細かな要素が活きています。





●ミュージックプレーヤーもかっこいいぞ

ザウルスにはミュージックプレーヤーがMOREソフトとして提供されるようになった。MI-E1では標準搭載されている。これも遊び心いっぱいのデザインのようだが、どうなのだろうか。

松本: これまでのザウルスのインターフェースは使いやすいのですが、もう少し可愛さがほしいと思っていました。MI-E1ではエンターテイメントという要素が加わったので、思い切っておしゃれなイメージを取り入れてみました。


たとえばミュージックプレーヤーの再生や停止のボタンだが、それぞれが重なり合うデザインになっている。このようなデザインは技術系の発想では考えつかないのではないだろうか。曲名リストの罫線のしかり、薄い色で斜めに線が入っている。このような遊び心、それがMI-E1らしさをかもし出しているようだ。PC用のMP3プレーヤーの多くがオーディオ機器をイメージしたデザインなのだが、ザウルスのミュージックプレーヤーは、もっとあか抜けた未来的な印象を受ける。

松本: このプレーヤーはユーザーのみなさんが着せ替えをして楽しんでいただけるようにスキン変更ができるように、プログラム部門にがんばってもらいました。変更ツールも近く公開予定です。



変更できるといえば、MP3プレーヤーには踊るキャラクターがいる。

松本: 実は、本当はもっとゆっくりとした踊りになるように設計していたのですが、マシンパワーが想像以上に上がって、かなりパワフルなダンス動きになってしまいしました。でも、逆にMI-E1の実力を実感しました。





●未来のインターフェース デザイン系の系統が生まれた。

さて、PDA型でペン操作とキーボード操作の2つを搭載したMI-E1。当然、これまでにはないインターフェースの考え方が必要だ。

松本: これまでのザウルスの場合、先が細いペンでタッチするのでボタンは比較的小さくても大丈夫でした。しかし、キーで操作するボタンオペレーティングでは、ボタンのフォーカス状態を示す反応パターンをきちんと示して見てとれるようにしないといけないなど、いろいろな面でインターフェースに配慮しなければなりませんでした。また、本体ボタンの操作が主になったことの背景には、ザウルスが情報をインプットするものから、アウトプットするものへ変わってきたことがあげられます。更に、ユーザー層が広がっているという状況のなかで、ムービープレーヤーやミュージックプレーヤーのように、いままでのザウルスよりも、もっともっと身近なビジュアルが必要とされています。これからは、ユーザーが持っているセンスに通じるデザインテイストを描きながら、ザウルスをより自然に使ってもらえるようにデザインしていきたいと思います。


単に使いやすいということ超えて、より身近な道具として違和感のないようにデザインが施される時代を感じさせられたインタビューだった。次回は、そういったデザインを陰で支えるプログラム、液晶、そしてMPEG4ビデオレコーダーの開発に迫ろう。

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