●他のPDAと比べてもダントツに便利でダントツに楽しめる新ザウルス
毎回新型ザウルスが出るたびに驚いたり喜んだりしているザウルス野郎の俺だが、いつも新型ザウルスが出るたびに、ある種の余計なお世話的心配をしたりする。
初代ザウルスのPI-3000は1993年に発売されていて、それから毎年のように新たな機能や使いやすさを備えた新機種が登場。主立ったモデルを数えると、この10年弱で20機種程度、装備等が違うモデルまで入れれば30機種以上も発売されている。で、単に新しい機種が出てくるだけではなく、従来の使いやすさをさらに向上させ、同時にユーザーが求める新しくまた先鋭的な機能を盛り込んでくるのが驚くべき点だ。つまり、新しい機種が高機能化されると同時に実使用における“敷居”も低くなっているのが、歴代ザウルスの凄いところなのだ。
俺もこれまで12台のザウルスを取っ替え引っ替え使ってきたが、そこまで買い換え使用をするのは、新しいザウルスにはいつも“より多くのことをよりラクにできる”という魅力があるからだ。ツールとして強力でありかつイージーという、この相反する要素を新機種ごとに洗練させ、出してくる。旺盛な好奇心と怠惰なスタンスのこの俺は、毎度毎度その強靱さと簡単さが増幅する新型ザウルスの魅力に勝てない。
のだが、しかし、MI-E1を使っていると、次の新機種のことがちょいと想像できなくなった。というのは、MI-E1、ご存じのようにPDAとしては十分成熟しているし、通信機器などへの接続性も万全。加えてエンタテイメント的機能(MP3サウンド再生やMPEG4ビデオ再生)もバッチシで、キーボードまで内蔵。機能としてはもう十分すぎるほどテンコ盛りなのだ。その一方で、使い勝手もこれまでのザウルスと比べても実にイージー。MI-E1自体はすげーナイスで、そのナイスさから他のPDAを倒しちまう勢いで売れたりしていて、まあそれはいいのだが、はて、MI-E1の次のザウルスは、いったいどーなるのかナ、と。これ以上何をどうするのか、と。MI-E1の次の機種は、いつもの新型ザウルスにあるような「また高機能になって使い勝手も良くなった!!」という驚きに、もしかしたら欠ける製品になるのでは……なんて余計なお世話っぽい想像をした俺であった。
ところが、実際にMI-E1の次の機種となる、最新型ザウルスことMI-E21に触れてみたら、そんな心配は銀河の遙か彼方の4096億光年よりずーっと向こうに吹き飛ぶと同時に、「むッ!! むむむッ!! むむむむーッ!!」と俺を唸らせた。やはり今度のザウルスもユーザーの期待を裏切らない進化を遂げていたのであった。
ていうかですね、今度のザウルスは、他のPDAと比べてもダントツに便利でダントツに楽しめる存在なんですよこれが!! MI-E1で満足していた俺も「なるほどこりゃ欲しいぜMI-E21!!」と思うほど、いろんな意味でまたもや一皮むけた最新型になっているのだ。
●洗練されたハードウェア
最新型ザウルスのMI-E21は、ハードウェア的にさらに洗練されたものとなった。まず外見的なところで、MI-E1と比べて横幅がキュッとスリムになり、デザインもスッキリしたものになった。具体的には横幅が7.5mm減っていて、デザインはより直線的で緻密なイメージになった。大雑把な印象としては非常に現代的なカッコ良さが備わったという感じだが、実際に触ってみると外見よりもむしろその使用感が良くなっている。
例えば、たった7.5mmのスリム化とは言っても、手に持ったときの印象がずいぶん違うのだ。MI-E1も十分コンパクトだったが、MI-E21はコンパクトでありかつスリム。手のひらへの収まりが非常に良くなっている。これに加え、前述のようにデザインが直線的・緻密なものとなったからか、パッと見の高級感が高まった。頻繁に手にして使う端末としてボリューム感は実用的であり、常時携帯する持ち物としてデザイン的高級感はちょいと嬉しい。まずは外面的な部分で非常に印象が良い。
PDAとしてのハードウェア的使用感としては、全体的にはMI-E1と同様の使いやすさを感じる。筐体がコンパクト化されたことで、キーボードも若干サイズダウンされているが、触った感じとしてはMI-E1のキーボードよりも使いやすくなったという印象がある。キーボードが小型化されると打ちにくくなりそうなものだが、キータッチ感のチューニングやキー配列の最適化などにより、使用感そのものはMI-E21のキーボードのほうが良い感じがする。
それから、MI-E1でやや弱いと言われていた点の多くが改善されている。例えば、ユーザーメモリエリアの拡張だ。MI-E1では7MB程度だったユーザーメモリが、MI-E21では一気に約15MBまで拡張された。バッテリーも変わり、専用のリチウムイオンバッテリーパックを採用したことによって、連続持続時間が約11時間になった。加えて、手書き文字認識ボードの改良による認識率アップや全体の処理の高速化など、細かい部分までチューンナップされている。
ザウルスは、けっこう昔のモデルから、そのPDAとしての機能は十分洗練されていた。なので、ユーザーが必要とする機能はとっくの昔から搭載済みだったりして、MI-E21になったからココがイイ!! という目立った斬新さはさほどない。とは言っても、MI-E1と使い比べてみてもMI-E21のほうが快適・安心して使えるあたりを考えると、個人情報管理ツール・通信端末としては、他には見られない“極めつけの完成度の高さ”は確実に感じられる。
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