ザウルスが大きく生まれ変わり、新ザウルスとして間もなく登場する。一足早く製品を触ることができたので、試用感を交えながら、製品を紹介しよう。
今回発売された新ザウルス「MI-E1」で最も大きく変わったのは、ボディが縦型になったことだ。従来モデルでも一部、縦型が意識されていたが、今回のMI-E1ではボディ回りの操作系やメニュー、アプリケーションなどもすべて縦表示を基本として設計されており、通
常は縦持ちの状態で使うことができる。アドレス帳やスケジューラー、アクションリストといったPDAに求められる基本的な機能もすべて縦表示になり、インターネットのホームページ閲覧やメール画面
も縦表示で利用可能だ。 ボディが縦型になったと同時に、本体には格納式のキーボードも内蔵された。本体前面
下の操作パネル部分を下に引くと、コンパクトなキーボードが現われる。ザウルスには優秀な手書き認識機能が搭載されているが、長文のメールやレポートなどを作成するときはやはりキーボードの存在がありがたい。MI-E1の内蔵キーボードはキートップがあまり大きくないが、タイピングはしやすく、かな漢字変換も同社の日本語ワープロ「書院」のものを継承しているため、なかなか賢い。
また、MI-E1では新たにエンターテインメント系の機能が充実している。たとえば、MPEG-4動画再生機能もそのひとつ。オプションのMPEG-4ビデオレコーダーを使えば、自分で撮ったビデオクリップを欠かさずに見たいドラマなどをSDメモリーカードに保存して、いつでも外出先で楽しむことができる。また、シャープスペースタウンでは、新作映画の予告編のダウンロードサービス「シネマタウン」がスタートするという。また、従来モデルからサポートされていたMP3再生機能が本機では内蔵されており、オーディオプレーヤーとして活用することもできる。
しかし、こうした外見やお楽しみ系の機能以上に、筆者がMI-E1に注目しているのは、通信機能が充実していることだ。ザウルスは従来モデルから通信機能を重視しているが、MI-E1ではさらにそれが強化されている。
まず、本体上面
にはCF TypeII準拠のカードスロットを装備しており、NTTドコモのデータカード型PHSa「P-in Comp@ct」を装着することが可能だ。本体と一体化させておけば、いつでも64kbpsデータ通
信でインターネットが使え、メールも定期的にチェックすることができる。CFカードスロットにP-in Comp@ctを装着した状態でも本体側面のSDカードスロットをストレージエリアとして利用できるのもうれしい。ちなみに、CFスロット対応の通
信機器は各社から登場が噂されており、Bluetooth対応製品なども登場してくる可能性が高い。
従来モデルからもサポートされている「オプションポート16」の存在も見逃せない。別売の接続ケーブルを底面のオプションポート16に接続すれば、各社のPDCデジタル携帯電話、cdmaOneデジタル携帯電話、ウィルコムH"(エッジ)及びα-DATA32対応PHS、NTTドコモ及びアステルPHSを接続することができる。国内で販売されているPDAで、これだけ幅広い通信プラットホームをサポートするものは少ない。
また、ハードウェア面
だけでなく、通信関連のアプリケーションも充実している。メールはサーバから必要なメールだけを選んで受信できる選択受信が可能で、あらかじめ設定した時間にメールチェックを行なうタイマー受信もサポートされている。ホームページ閲覧も自動巡回ができるため、ちょっとした時間にニュースページを読み込んでおき、移動中などに目を通
すといった使い方もできる。
こうした通信機能の充実は、現在のPDAに欠かせないものであり、MI-E1はそれをしっかりと具現化できている。インターネットや携帯電話が当たり前となった今日、いかに簡単かつ効率よく通信ができるかは、PDAを選ぶ上での最大の重要ポイントであり、通信機能なくしてPDAを語ることはできない。派手な機能ばかりではなく、本当に実用性のある機能もしっかりとサポートできているのはMI-E1を高く評価できる点だ。
あるメーカーの商品企画担当がこんなことを言っていた。「パソコンはいろいろなことに使えるけど、PDAやモバイル機器は利用シーンが広がるから、もっと使い道が広がる。だからこそ、1台ですべてを実現することはなかなか難しい」PDAに求めるモノは人によって、大きく違ってくる。ある人はスケジュール機能、ある人はアドレス帳かもしれない。メールが頻繁にチェックしたい人もいれば、ゲームがしたい人もいる。欲張ってビデオが見たいなんていうニーズもある。新ザウルスはそんなユーザーのわがままなニーズにしっかり応えてくれる製品と言えそうだ。 |