今回、シャープが発売した新ザウルス「SL-A300」は、こうしたPDAとパソコンの関係を覆す斬新なコンセプトに基づいて開発されている。SL-A300はOSとして、新たにLinuxを採用したことが話題となっているが、実はそれ以上に注目したいのがPDAとパソコンの関わり方を大きく変えている点だ。
現在、多くのPDAではメールなどで送られてきたスケジュール内容を入力したいとき、パソコン上でPIMを起動し、メールに書かれた日時や場所などの情報を参照しながら入力している。その後、PDAとパソコンのデータを同期(シンクロ)させ、PIMに入力した情報をPDAに反映させている。 |
これに対し、SL-A300では「ザウルスショット」という機能を搭載することにより、パソコン上で必要な情報をクリップし、カンタンにSL-A300に取り込んでしまうことができる。たとえば、ミーティングなどの情報がメールで送られてきたら、日時や場所などの必要な部分を範囲指定し、特定のキー(標準では[F11]キー)を押すだけで、SL-A300にテキストデータとして取り込むことができるのだ。取り込んだデータはカレンダーに貼り付けられているので、あとはカレンダー上で目的の日時にクリップしたデータを移動すれば、スケジュール入力は完了する。スケジュール以外にもミーティングに必要な文献などのテキストデータを自由に取り込むことが可能だ。 |
SL-A300で取り込むことができるのは、テキストデータだけではない。たとえば、パソコンでホームページを閲覧しているとき、「あ、これは便利だからメモしておこう」と考えたことはないだろうか。そんなときも画像をクリップするためのキー(標準では[PrintScreen]キー)を押すだけで、ホームページの内容をSL-A300にJPEG形式の画像として取り込むことができる。画像ファイルもテキストファイルと同じように、カレンダーに貼り付けられるので、その日のミーティングに必要な資料や目的地の地図などを取り込みたいときも役立つ。ザウルスショットはアプリケーションに関係なく、画像を取り込むことができるため、WWWブラウザに表示されたホームページ以外にもワープロや表計算、プレゼンテーションソフト、画像編集ソフトなど、パソコンの画面に表示されたさまざまなデータを画像としてクリップすることができる。さらに、取り込んだ画像はザウルス上で拡大や縮小、スクロールしながら確認できるので、自分の用途に合わせて、活用することが可能だ。
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これらのことを見てもわかるように、SL-A300はザウルスショットにより、気になるデータや必要な情報をどんどんクリップし、「デジタルブリーフケース」や「電子スクラップブック」のように活用できるわけだ。これはある意味、従来のPDAに挫折した人のためのPDAという見方もでき、PDAとパソコンとユーザーの関係を大きく変えてしまう可能性を秘めている。ちなみに、パッケージには「Intellisync
for Zaurus」も含まれているので、従来のように、Outlookとスケジュールやアドレス帳をシンクロしながら使うことも可能だ。 |
また、SL-A300はパソコン上から見た場合、「ザウルスドライブ」として認識されるため、WordやExcelなどのデータをドラッグ&ドロップで保存し、カンタンに持ち歩くこともできる。付属CD-ROMに収録されているSL-A300用アプリケーションの「HancomMobileWord」と「HancomMobileSheet」をインストールすれば、SL-A300上でWordやExcelのデータを表示したり、編集することも可能だ。 |
ザウルスショットで取り込んだデータやザウルスドライブに保存されたデータは、本体メモリだけでなく、SL-A300に装備されているSDカードスロットを通じてSDメモリカードに保存することもできる。SDメモリカードはすでに512MBもの容量の製品が登場しているため、かなりの大容量のデータでも安心して扱うことができる。 |